お七夜、お宮参り、お食い初め・・・0歳赤ちゃんのイベントは次から次へとやってきます。初節句もそのひとつですよね。
今回は、男の子の初節句・端午の節句について、どんな行事なのか?五月人形や鯉のぼりは用意しなければダメ?食事はどうすればいいの?などなど、丸ごと解説していきます。
お子さんの初節句の準備に、是非参考にしてみて下さいね。
男の子の初節句はいつ?
初節句とは、文字通り「初めての節句」。男の子の場合は、生まれて初めて迎える5月5日・端午の節句が初節句となります。
初節句は、赤ちゃんの誕生を喜び、健やかな成長を願ってお祝いする行事。お祝いの仕方に絶対の決まり事はありませんが、一般的には、パパママ両家の祖父母を招いて赤ちゃんを囲んで食事会をするご家庭が多いです。
でも4月生まれの赤ちゃんはまだ新生児。大勢で集まるイベントは赤ちゃんにもママにも負担が高いよね。赤ちゃんの月齢が浅く大変なら、初節句のお祝いを翌年に持ち越してもOKだよ。
何度もみんなで集まるのは大変だから、お宮参りと初節句を一緒にお祝いする人もいるわよね。
0歳赤ちゃんの行事は本当にたくさんあります。古くからの風習は大切にしたいものですが、昔と今とでは状況もずいぶん違いますよね。ご家族にとって負担なくみんなで喜びあえる形で、お祝いしてあげて下さいね。
初節句とお宮参りの時期が重なりそうな方は、こちらもご参考にどうぞ。
端午の節句とはどんな行事?
初節句は身内でのアットホームなお祝い。なので細かなルールに捉われず、各ご家庭で楽しめればOKなのですが、そうはいってもせっかくの古き良き伝統行事。基本は押さえておきたいところですよね。
初節句をお祝いするに当たり、端午の節句とはそもそもどんな行事なのかについて、サクッと確認しておきましょう。
端午の節句の由来
節句の起源は中国。節句というのは、要するに季節の節目のことです。節句には邪気が入り込みやすいとされていた中国では、季節の節句毎に無病息災などを願い様々な厄払いが行われていました。
旧暦5月の端午の節句には、菖蒲を軒へ吊るしたり菖蒲湯に入るなどで厄払いをしていたのだそうです。
菖蒲は厄を払うと考えられていたんですって。
菖蒲を用いて厄払いをするのは、日本に伝わってからも同じ。だから
端午の節句は「菖蒲の節句」とも言われているのよ。
端午の節句とは、すなわち「菖蒲の節句」。もともとは男女の別なく行われていた、季節の節目の「厄払い」だったのです。
「菖蒲の節句」が「男の子の節句」になったワケ
無病息災を願う厄払いであった端午の節句が、なぜ日本では「男の子の節句」となったのでしょうか?実は、端午の節句が今のように「男の子の節句」となったのは、江戸時代になってからのこと。
江戸時代は武家中心の社会。そのため「菖蒲」が「尚武」に通じるとして、端午の節句が盛んに祝われるようになったのだそうです。
そしてこの江戸時代に、ひな人形を飾る桃の節句が「女の子の節句」として定着しました。その対になるものとして、端午の節句が「男の子の節句」となっていったわけです。
「桃の節句」も、はじめは男女に関係のない厄払い行事だったんだよ。
ひなまつりについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。女の子の節句はどのように過ごすのか、おひな様はどう用意するのかなど、あわせて参考にしてください。
端午の意味は?
ところで、端午の節句の「端午」ってどんな意味なのかご存知ですか?
「端」ははじめ、「午」はうま、という意味。ですから端午とは
- 5月に限らず、毎月最初の「午の日」のこと
- 「午の月」=旧暦5月(中国の暦では12の月に十二支が当てられるため)の最初の「午の日」のこと
など、まあ諸説はあるものの、要するにもともとは端午の節句は必ずしも5月5日というわけではなかったんですね。
それが後に、「午(ご)」は「五」に通じることから、「五」の重なる5月5日が端午の節句、と変化していったのです。
端午の節句とこどもの日は別イベント
ちなみに、5月5日と言えば「こどもの日」ですよね。GWの終盤、カレンダーにもちゃんと「こどもの日」と書いてありますから、現代人の私達にとっては、こちらの方が馴染み深いですよね。
そのため、「男の子の節句は5月5日のこどもの日」と思っている方も多いのではないでしょうか。ですが、端午の節句とこどもの日は、同じ日の別イベントなんです。
こどもの日は、「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福を図るとともに、母に感謝する日」。これが制定されたのは、昭和に入ってからなんです。
へぇ、「母に感謝する日」でもあるのね!じゃあ5月5日は男の子だけじゃなくて、女の子もママも主役の日ね!
男の子の節句飾り、何を準備する?
お節句の準備といえば、やはりメインは節句飾りです。端午の節句には、どのような飾りを用意すればいいのでしょうか?それぞれの飾りの意味や、飾り方のルールなどを確認していきましょう。
五月人形(内飾り)
端午の節句のお飾りには、内飾りと外飾りがあります。お家の中に飾る内飾りは、五月人形(ごがつにんぎょう)のこと。五月人形とは
- 鎧飾り
- 兜飾り
- 武者人形
などを指し、どれを飾ってもOKです。
ちなみに、五月人形が武者や兜・甲冑など、強さをイメージさせる姿をしているのは、「強い力で災厄を退け、力強く立派に育って欲しい」という思いが込められているからです。
また、鎧兜は身を守ってくれるもの。病気や交通事故などから子供を守ってくれるように、無事に丈夫に育ちますようにという願いもあるんですよ。
このような思いや願いが込められるようになったのは、日本の武家社会から生まれた風習。身の安全を願って神社に参拝する際に、鎧や兜を奉納するしきたりに由来しています。
五月人形はひとりに1つ!
五月人形はお子さんの厄を払い身を守るもの。なので、兄弟で共有したり、誰かからのお下がりをもらうのではなく、ひとりに1つ用意するのが基本とされています。
2つも3つも五月人形を用意するとなると、お金もかかるし飾るのも保管するにも場所をとるしで大変過ぎる!と思われるかもしれませんが・・・
五月人形は、大きなものや高価なものでなくてもいいんだよ。こんな風に手作りアイテムで節句行事を楽しむのもおすすめ!
実際に赤ちゃんに被せてあげることもできる、布かぶと。基本的な作り方は折り紙かぶとと一緒ですから、めちゃくちゃ簡単ですよね?
布の色柄を選べば雰囲気の違うものがいろいろと楽しめますし、兄弟でかぶと帽子を被って記念写真をパシャリ、なんてステキな思い出にもなりますね。
こいのぼり(外飾り)
端午の節句の外飾りと言えば、こいのぼり。こいのぼりには、男の子が立派に育ち、出世するようにとの願いが込められています。これは、昔から鯉は「出世の象徴」とされていることが由来です。
また、鯉は沼や池、泥水の中でも生息することができる魚。その生命力にあやかり、我が子が強く元気に育つようにとの願いもあるんです。
そんなこいのぼりの始まりは、江戸時代。町人から生まれた節句飾りで、男の子が生まれると、のぼりや旗指物を上げてお祝いする武家の風習を真似たのが始まりと言われています。
もともとは吹き流しだけだったところに、鯉が加わって今のようなこいのぼりになっていったのだとか。
こいのぼりの色も最初は黒だけだったのが、時代とともにどんどんカラフルになっていったんだって。
ちなみに、1つでも充分カラフルな吹き流しの色は「五色」と言って魔除けの意味があるのよ。
また、五月人形とは違い、こいのぼりは一家に1つでOK。もし既にお家にこいのぼりがあるのなら、弟君が生まれても新たに購入しなくてもOKです。
こいのぼりと五月人形は両方必要?
さて、ここでちょっと気になるのが「内飾りの五月人形と外飾りのこいのぼり、両方揃えなければならないのか?」ということではないでしょうか。
基本的には、五月人形とこいのぼりとではそれぞれの持つ意味が違うので、「両方あった方がいい」と言われています。でも両方用意するって、収納場所を確保するだけでも大変ですよね。
ましてマンション住まいの方など、そもそもこいのぼりを飾る場所がないという方も多いです。もちろんベランダ用の商品はありますが、手狭になることには変わりなく・・・
それぞれ様々な事情がありますので、「両方揃えることが望ましいが、難しい場合はどちらか片方でもOK」というのが最近の考え方になっています。
でも、こいのぼりだって工夫次第で省スペース・ローコストで用意ができるんですよ。
こちらのように壁に貼るタイプのステッカーなら、片づける時ははがすだけの手間いらず。おまけにお子さんとの写真も撮り放題です(笑)
“外飾り”は難しくても、現代版・我が家スタイルでこいのぼりを探して楽しんでみませんか?
菖蒲はショウブ違い!?
節句飾りではありませんが、端午の節句は菖蒲の節句。やはり菖蒲は欠かせないアイテムです。
ちなみに、「菖蒲」と聞いて、こちらのあでやかなお花を思い浮かべましたか?
画像引用ウィキペディア
実はコレ、菖蒲違い。こちらはアヤメ科に属する「ハナショウブ」。古くから端午の節句の厄払いに用いられてきた菖蒲とは別物なんです。
軒先に吊るしたり、お風呂に入れたりする端午の節句アイテムとしての菖蒲は、薬効のあるこちらのサトイモ科のショウブ↓
画像引用日本薬学会
ハナショウブに対して葉菖蒲とも呼ばれますが、この葉菖蒲の強い香りが邪気を払うとされているんです。
え?そうなの!?知らなかった・・・だって兜飾りなんかと一緒によく花菖蒲も飾られてるわよね?
うん、そうだね。もともと節句に用いられていたものとは違うんだけど、花菖蒲も季節の花だからね。今となっては端午の節句を彩る花としてしっかり定着してるのよ。
花菖蒲は葉菖蒲のように香りや薬効かあるわけではありませんが、「尚武」の音に通じるのは同じ。五月人形と一緒に飾って華やかさを添えてみてはいかがでしょうか。
五月人形やこいのぼりは誰が買う?
節句飾りは、かつては「母方の実家が用意するもの」だとか、「雛人形は母方の実家、五月人形は父方の実家で用意するもの」などと言われていましたが(地域により違いあり)、現代では誰が用意してもOK。
なので、母方祖父母でも父方祖父母でも、両家折半でも、もちろんパパママが買ってあげても問題なしです。
でも地域によっては昔からのしきたりが守られていたり、おじいちゃんおばあちゃんの意向もあるから、誰が用意するかは家族でちゃんと相談してね。
五月人形やこいのぼりはいつ片付ける?
五月人形やこいのぼりを用意できたら、いつ出していつ片付ければいいのか気になるところですよね。それぞれの飾り方に決まりはあるのでしょうか?
五月人形は、5月中旬頃まで
五月人形を飾る時期は、一般的には「4月中旬頃~5月中旬頃まで」とされています。しかし、明確な決まりはないので予定に合わせて飾りましょう。
しかし一点だけ注意点があり、節句の前日に飾るのだけはNGです。「一夜飾り」と言って、急な準備がお葬式を連想させ、縁起が悪いとされているので避けてください。
また、おひな様の場合は「早く片づけないとお嫁に行けない!」などと言われることがありますが、五月人形にはそんなナゾルールは存在しないので、慌てなくて大丈夫(笑)節句のお祝いが終わって2週間くらいを目処に、天気が良く湿気の少ない日に片づけて下さいね。
また、兜飾りや鎧飾りは「お守り」として、1年中飾ることもできるんですよ。
飾る場所を選ばないコンパクトサイズの五月人形もたくさんあるし、出し入れせずにずっと子供の成長を見守ってもらうのもいいわね。
最近の五月人形は、様々な素材やデザインのものがあります。出し入れの簡単なもの、ずっと飾っておけるインテリアに馴染むものなど、お好みのものを探してみて下さいね。
こいのぼりは、できるだけ速やかに
こいのぼりも、飾る時期について明確な決まりはありません。一般的には、「3月下旬~4月上旬」に飾り始めるご家庭が多いです。
ただ、お片づけに関しては、端午の節句が終わったらできるだけ速やかに行った方がいいでしょう。五月人形と違って人目につく外飾り。あまりダラダラと飾っていると季節感もないですし、のんびりしていると梅雨入りしちゃった!なんていうことにも。
1ヶ月近く屋外で目を楽しませてくれたこいのぼりは、洗ってキレイにしてから片づけるの。よく晴れたお天気のいい日を選んで、しっかり乾かしてからしまってあげてね。
端午の節句に食べるものは?
節句は「節供」とも書き、季節のお供え物をして、そのお下がりをいただく行事でもあります。ですから、食べ物は、節句の準備における重要ポイントのひとつ。
端午の節句に食べるものとしては、関西ではちまき、関東では柏もちが主流と言われています。それぞれにどのような意味がこめられているのでしょうか。
関西代表【ちまき】
「柱のキズはおととしの~ 5月5日の背くらべ ちまき食べ食べ兄さんが~ はかってくれた背の丈」
はい、有名な童謡「背くらべ」の歌詞にもありますね。5月5日に食べるものといったら、ちまきです。なぜちまきを食べるのか?と言えば、その由来は中国にあります。
【ちまき・はじめて物語】
昔々、中国に屈原(くつげん)という政治家がいました。屈原は多くの人々に慕われていましたが、陰謀によって国を追われ、川に身を投げてしまいます。
それを悲しんだ人々が、供養のために米を川に投げ入れました。悪い龍に食べられないようにと、お米を龍の嫌う葉で包みそれを五色の糸で縛ったことが、ちまきの始まり。
龍を退け、ちまきは無事に屈原のもとに。以来、屈原の命日である5月5日にちまきを食べる風習が生まれました。
もともとは屈原への供物であったちまき。ですが、悪い龍を寄せつけない→「邪気を払う効果がある」ちまきを5月5日に食べる、という風習が後の世まで残り、端午の節句の食に結びついたものと考えられています。
ちまきは中国伝来のもの。日本の都が近畿にある時代に伝わったから、関西圏で食べられるようになったのね。
関東代表【柏もち】
柏もちを食べる風習は、江戸時代に日本で生まれました。
柏の木は冬になっても葉を落とさず、新芽が出る頃に落葉することから、「後継ぎができるまで葉を落とさない」縁起物。跡継ぎを大事にする武家では、特に好んで食べられるようになったそうです。
武家が多かったこと、柏の木が西日本ではあまり自生しないことなどから、柏もちは関東を中心に広まったようです。
ちなみに・・・桜もちと違い、柏もちの葉っぱは食べない方がいいそうなので、お気をつけ下さいね(笑)
まとめ
- 男の子の節句は、5月5日の端午の節句。
- 初節句は、赤ちゃんの健やかな成長を願ってお祝いする行事。
- 端午の節句の起源は中国。もともとは無病息災を願う厄払いだった。
- 端午の節句は「菖蒲の節句」とも呼ばれ、今のように「男の子の節句」になったのは江戸時代。
- 端午の節句に欠かせない「五月人形」「こいのぼり」「ちまき」「柏もち」には、子供が元気に成長してくれるようにとの願いがこめられている。
お子様の誕生、そして初節句、おめでとうございます!初節句がステキな思い出の1ページとなりますように。そして、お子様の健やかな成長を願って。