「エアコンは体に悪いから使わない」という方は結構多いのではないでしょうか。でも、その根拠はなんでしょう?
たしかに、エアコンが原因で体調不良を起こすことはあります。しかし、それは【間違った使い方】をしているからなんです。正しくエアコンを使えば、体の健康はしっかりと守りつつ、夏を快適に過ごすことができますよ。
今回は、そんなエアコンの健康被害にまつわる話をしていきます。ぜひ参考にして、暑い夏を安全に乗り切りましょう。
冷房が原因で体調不良になるって本当?
冷房の効いた部屋にいると、体がだるくなることがありますよね。冷房のせいで夏風邪を引くこともあるし、そのため「冷房は体によくない」と思っている方も多いかと思います。
でも、本当に冷房は健康に悪影響なのでしょうか?最近の新築住宅にはエアコンが付いているのが当たり前ですが、悪影響なものをわざわざ家に取り付けることはありませんよね。
でも、エアコンのせいで不調を招いているのは事実なんでしょ?だったらやっぱり体にはあまり良くないんじゃ…
エアコンが原因で体調を崩してしまうといっても、その原因はエアコンそのものにあるわけではないの。実は、『間違ったエアコンの使い方』をしているから体調を崩すんだよ。
エアコンが体に悪いとされるのは、例えば1日中冷房ガンガンの部屋に居続けた時など。
冷房漬けの毎日を送っていると、確かに猛暑は避けられて快適にはなるかもしれません。しかし、そのような涼しすぎる環境は、自分の体温調節機能をかなり乱してしまいます。
すると、体のだるさや頭痛などの症状が出る「冷房病」を引き起こしたり、最悪の場合は暑くても汗がかけない体になってしまうことも。
このような冷房の影響は、子供の方が受けやすい傾向があります。まだ体温調節機能が未熟な子供が冷房に慣れ過ぎてしまうと、体温調節をうまくできないまま発達していってしまいます。このような理由があるため、「エアコンの温度設定は高めが推奨」とされているんですね。
その具体的な温度は、目安としては外気温−5℃までの範囲で設定してみましょう。また、猛暑日などは、26〜28度で調節してみるといいですね。それについては、こちらで詳しくご説明しています。
エアコンを使わない人は要注意!熱中症は室内でも起こる
でも、エアコンをつけると電気代が跳ね上がるし…
エアコンの冷風って苦手なのよね…
などという理由で、あまりエアコンをつけたくないという方もいらっしゃるかと思います。他にも、エアコンは体に良くないと思っているが故に、「エアコンをつけないことが健康法だ」と勘違いしている方も多いのでは?
ですが、上記のように正しい使い方さえしていれば、エアコンによる健康被害は防げるんです。むしろ、エアコンを付けずに猛暑の中我慢している方が命の危険にさらされます。
毎年夏本番を迎えると、テレビでは「熱中症で〇〇人搬送」などというニュースをほぼ毎日見ますよね。この熱中症、実は室内でも起きるんです。というよりも、むしろ熱中症で搬送される人のほとんどが自宅で発症しているんです。
熱中症で命を落とす危険がある
暑い環境に長時間いると、「熱中症」を起こしてしまう可能性があります。熱中症による搬送者・死亡者は毎年多数報告されており、特に乳幼児や高齢者はそのリスクが高まります。
熱中症の主な原因は、体温調節機能の乱れや体内の水分が失われることです。涼しい環境にいすぎても体温調節がうまくいかなくなると述べましたが、もちろん反対に暑い環境にいすぎてもNG。
暑い環境に長時間いると、体内の熱をうまく放出できなくなってきます。しかも、暑い環境だと大量に汗をかきますよね。すると、体内の水分が失われて体液のバランスが崩れてしまうことで体の不調が起きる=熱中症発症、となってしまうのです。
これを予防するには、やはり室内環境を快適にしなければいけません。電気代が気になるところではあるかもしれませんが、熱中症は28度以上になると危険性が高まります。室温28度を超えないように設定し、エアコンをうまく活用してみましょう。
また、設定温度28度では暑い!という方は、ぜひこちらを参考にどうぞ。様々な方法で涼しさを得ることができるので、エアコンをキンキンに冷やさなくても快適に過ごすことができますよ。
エアコンから健康を守る方法3選
夏の暑さから体を守るにはエアコンが必須。しかし、冷房ガンガンにしすぎてしまうのもよくない…。となると、どのように使うのが一番いいのか分からなくなってきてしまいますよね。
そこで、夏を健康に過ごすためのエアコンの使い方をご紹介します。これで「冷房のせいで体調が悪くなる」なんてことなく暑い夏を乗り切れるはず!ぜひお試しください。
エアコンの風は直接体に当てない
エアコンの冷風が直接体に当たると、体が冷えすぎてしまいます。これが体調を崩してしまう原因で、のどの痛みや肩こり、頭痛など様々な症状が出てきてしまうんです。
そのため、エアコンを使用するときは風向きにも注意しましょう。対応策としては、以下の通り。
- エアコンの風向きを上向き、または水平にする
- 扇風機を併用する
エアコンの風を上に向けてたら、上の方ばかり冷えちゃって人がいるところは暑いままなんじゃないの?
そんなことないのよ。冷たい風は下に溜まるから、冷風を上向きにしていてもどんどん冷たい空気が下に降りてくるの。
この「冷たい空気が下に降りてくる」というのが重要キーワード。
冷風を下向きにしていると、たしかに体感温度が下がってすぐに涼しくはなりますが、そうすると上の方はまだ暑い空気が流れています。ということは、室内に温度ムラが生まれますよね。
そうすると、エアコンはまだ室内が暑いと判断し、ずっとフルパワーで働くことになります。そんなのとっても効率が悪いし、電気代もかさむ要因となってしまいます。
そこで、エアコンの風向きは上向きか水平にするのがポイント。ただし、エアコンの風量は「自動」に設定しておいてくださいね。
ずっと強のままだと、当然終始フルパワーになってしまいます。しかし、自動ならその時々に合わせて強→中→弱と風量を変えてくれるため電気代が抑えられる、というわけです。
また、同時に扇風機を使って空気を循環させると、もっと効率よく室内を冷やすことができます。
その扇風機も人に向けて当てるのではなく、エアコンの対角線上に上向きに回すと◎。するとエアコンの冷風が扇風機の風によって部屋をぐるぐると回るので、冷たい空気が均一に部屋を循環するようになります。
このようにして部屋に気流を起こすと、結果として体感温度も下がるのでより涼しく感じられますよ。
エアコンの掃除を行う
外から見ると何の問題もなく綺麗に見えるエアコン。でも、どんなエアコンでも使用していれば必ず内部は汚れています。
ほこりが溜まっていたり、さらにはカビが繁殖していたり…。その汚れがついたままエアコンを使用してしまうと、風に乗ってほこりやカビまでも室内に漂ってしまうことに!
そんな汚れた空気を吸っていると、喘息やアレルギー、肺炎などの原因になってしまいます。それを防ぐため、エアコンは必ず定期的に掃除をするようにしましょう。
やり方は、フィルターと内部のフィンやファンなどによって異なります。
【フィルターの掃除方法】
- フィルターを外し、掃除機でほこりを吸い取る
- お風呂場などで水洗いをし、乾燥させる
【フィンやファンなど内部の掃除】
- コンセントを抜く
- 吹き出し口など、届くまでの範囲をタオルで拭く
フィルターを水洗いするときは、ブラシなどを使ってこすり洗いしてもOKです。ただし、こすりすぎると網目が壊れてしまう可能性があるので、優しく力を入れすぎないように注意しましょう。
また、内部を掃除するときは、感電の危険を避けるため必ずコンセントを抜いてから行うようにします。タオルには中性洗剤などを染み込ませて拭くと効率よく落とせますが、その後には水拭きを忘れずに行うようにしてくださいね。
このようにして、エアコンの掃除はある程度は自分でもできます。本当に中の中まで綺麗にしたいのならやはりプロに頼むしかありませんが、これだけでもやるとやらないでは大違いです。
汗をかいたら着替えをし、お腹は冷やさない
暑い外から帰ってくると、涼しい室内はまるで天国!ですが、汗をかいたまま冷房の効いた室内にいれば、当然体調を崩す要因となってしまいますよね。
そこで、汗をかいたらまず着替えをするようにしましょう。特に子供は汗かきなので、大人は大丈夫でも子供の背中に手を入れたらびっしょりと汗をかいていた、なんてこともあります。
また、夏の服装は手足を露出させることが多いですが、お腹だけは冷やさないように気を付けましょう。
一般に、人間は手の温度が27℃前後なのに対して、なんとお腹周りは36℃前後。これは、人間にとって大切な内臓を守っているからなんです。
内臓が冷えると、便秘や下痢など体調不良の原因になります。子供の服には腹巻きがついていることが多いですが、これはこのようにお腹が冷えないようにする対策法なんですね。
また、夏は冷たい食べ物や飲み物などがおいしい季節ですが、そういったものの食べすぎも厳禁。夏でも暖かい食べ物を取り入れ、必要以上に体が冷えてしまわないよう気を付けましょう。
まとめ
- 「冷房は体に悪い」は嘘。“正しい使い方”ができれば夏を快適に過ごせる。
- 冷房によって体調不良が起こるのは、1日中冷房ガンガンの部屋に居続けるなど、間違った使い方をしているため。
- エアコンを使わず我慢していると、室内でも熱中症を引き起こすことになる。毎年の熱中症での搬送者のほとんどが室内で発症している。
- エアコンのせいで体調不良を起こさないようにするには、冷風を直接体に当てないようにすることが大事。扇風機を併用するのも◎。
- エアコンの内部にはほこりやカビがあるので、定期的に掃除をする。
- 汗をかいたら着替えたり、お腹を冷やさないようにして、必要以上に体が冷えてしまうことを避ける。
「昔はエアコンなしでも大丈夫だった」などと、よく年配の方がおっしゃっているのを耳にします。
しかし、そう思っている方に強く申し上げたいのが、『今と昔、環境がまったく異なってきていることを自覚しましょう』ということ。
最近では、「最高気温39℃」なんて異常な暑さになる地域も出てきています。最悪な結果を招かないよう、そして夏を快適に乗り切れるよう、ぜひエアコンを上手に活用してみてはいかがでしょうか。