2月の年中行事といえば節分。「鬼は~外!」「福は~うち!」と、子供達も大いに盛り上がるイベントですよね。
でも、そもそも節分って何のための行事なのか、どうして豆をまくのかご存知ですか?意外と知らない節分の意味や由来、また福豆の食べられない小さなお子さんへの注意点など、節分についての疑問を丸ごと解説していきます。
節分っていつ?
では質問です。「節分」はいつでしょう?
節分?2月3日でしょ?
そう、節分は2月3日と思っている方が多いですよね。でも節分って、実は〇月〇日と日付が固定されているわけではないんです。
そもそも「節分」とはどんな意味?
「節分」は、季節を分けると書きますよね?その字が示す通り、季節の変わり目である立春・立夏・立秋・立冬、それぞれの前日が節分なんです。
じゃあ、節分は1年に4回あるの?
実はそうなんだよ。でも今は「節分」と言えば、2月の立春の前日のことを指していると考えてOKだよ。
旧暦では、立春が新しい年のはじまり。つまり立春は今で言う元日、節分は大晦日に当たるわけです。同じ季節の節目でも、2月の節分は古い年と新しい年の節目。
そのため、立春前の節分は他の季節の節分よりも重要視され、節分=2月という認識が定着するようになったのだそうです。
節分は2月3日とは限らない!
節分は立春の前日。2月4日が立春であることが多いため「節分は2月3日」と認識されがちですが、立春の日にちはズレることがあります。
つまり、節分は必ずしも2月3日ではないんです。近くは2021年、立春は2月3日だったため節分は2月2日でした。
ちなみに立春が2月3日になったのは124年ぶり、節分が2月3日からズレたのは37年ぶりだったんだって。
今後しばらくの間は、4年に1度、立春は2月3日になるのだそうなので、節分の準備前にはカレンダーをしっかりチェックして下さいね。
節分の由来は?何をする行事なの?
では、またまた質問でーす。節分は何のための行事でしょう?
え?何のため?えーと、節分は豆をまいて・・・お、鬼退治、かな?
そう、鬼退治だよね。言うなれば節分は厄払い行事なんだよ。
昔は季節の変わり目には邪気が入り込みやすいと考えられていました。
鬼は邪気、悪いものの象徴。季節の変わり目、そして古い年と新しい年の変わり目である節分は、悪いものを払い、1年を健康に過ごせるよう願う行事なのです。
天災や病気など、人々を苦しめる厄災は邪気によるものと考えられていたため、季節ごとに様々な形で行なわれていた厄払い。実はひな祭りや端午の節句も厄払い行事のひとつなんですよ。
節分にはどうして豆をまくの?
節分は、中国の「追儺(ついな)」という行事が由来と言われています。大晦日に鬼を払うこの行事が伝わると、日本でも「追儺」「鬼やらい」という宮中行事となりました。
ですがこの鬼やらい、もともとは豆ではなく弓矢などが用いられていたのだそう。ではどうして豆が使われるようになったのでしょうか?
節分と豆まきの由来
鬼退治に豆が使われるようになったのは室町時代あたりから。では、なぜ「豆」なのかと言うと・・・
農耕民族である日本人にとって穀物は生命の象徴。五穀(米・麦・あわ・ひえ・豆)には神様が宿っており、撒くことで場が清められるとされていました。中でも豆は最も大きな穀物であるため、より強い力があると考えられたのです。
そして豆は「魔(ま)を滅(め)する」に通じるからね。邪気を払うのに最適とされたんだ。
え、語呂合わせで選ばれたんだ・・・
豆まきに落花生を使う地域も
一般的に節分の豆まきに使われるのは大豆ですよね。ですが北海道や東北、北陸地方など、節分に落花生をまく地域もあるんですよ。
殻つきの落花生は、大豆よりも大きいからね。雪の上にまいても見つけやすいし、拾いやすいのが理由みたい。
雪深い地域でなくとも、落花生の産地などはやはり節分に落花生をまくところもあるそうです。
見つけやすく拾いやすい、当然後片付けも落花生の方がラクですよね。また、まいた豆を食べるにしても、落花生は殻つきなので、直まきの大豆よりも衛生的。
確かにそうね!家の中でも床にまいた豆を食べるのってちょっと抵抗あったのよね。掃除もラクそうだし、うちも落花生にしようかな。
ちなみに、節分の豆は歳の数だけ食べるのが習わしですよね?落花生の数え方は、殻1つで1個。1つの殻には豆が2つ入っていますから、食べ過ぎ注意ですね(笑)
意外と知らない「豆まき」のルール
豆まきの由来がわかったところで、次は豆まきのお作法について学んでおきましょう。しっかりと鬼を払い、1年の健康を祈願する豆まきには、いくつか押さえておくべきポイントがあるんです。
豆は炒り豆を使うべし
節分の豆まきに使われる豆を福豆と言います。大豆でも落花生でもOKなのですが、大事なのは炒り豆を使うこと。生の豆をまくのはNGなんです。
確かにスーパーとかで売ってる節分用の豆って炒り豆よね。でも豆って生じゃ食べられないもんねぇ。
うんうん、お腹壊すから豆は生で食べちゃダメだよ。でも豆まきに炒った豆を使う理由は「食べられないから」じゃないんだ。
生の豆をまくと、そこから芽吹いてしまうかもしれません。邪気を払った豆から芽が出るのは縁起が悪いですよね?また、「豆を炒る」はすなわち「魔の目を射る」に通じるとされ、節分には炒り豆が使われるのです。
やっぱり語呂合わせなんだ・・・
豆は清めてから使うべし
豆まき用にしっかりと炒られた「福豆」は、有り難いことにスーパーやコンビニ、ドラッグストアなど、今は簡単に手に入れることができます。でも、買ってきた福豆の袋を開けてそのまま豆まきに使うのではなく、ちょっとひと手間かけてみましょう。
福豆は桝に入れて神棚にお供えしてからまくのが正式なんだ。
鬼を払うお豆パワーがより強力になる感じだね。でも、うちには神棚なんてないよ?
今は神棚のないお家がほとんどですよね。神棚がない場合には、棚の上など目線より高い位置に白い紙を敷き、桝に入れた豆を置けばOK。豆を入れる桝もなーい!というお宅は、折り紙でも簡単に作れますよ。
ちなみに、桝に入れるのは豆の力が「増す」ようにってことだよ。
桝と増すね・・・
豆まきは夜行うべし
保育園や幼稚園でも行われる節分の豆まき。現在では子供が楽しむものとして、何となく昼間のイベントのようなイメージがありますよね。
でも、節分の豆まきは夜に行うのが正解。なぜって?それは鬼が出てくるのは夜になってからだからです。
そうそう、鬼は日の光に弱いからね。鬼殺隊も鬼と闘うのは夜だもん。
・・・さとみちゃんの鬼知識の仕入れ先、ほぼ鬼滅の刃なわけね。節分の鬼は災い全般を指す、もうちょっと抽象的なイメージなんだけど・・・
ともかく、鬼が動き回るのは夜、というのは日本における基本設定。小さなお子さんと一緒に楽しむなら、あまり遅い時間は難しいかと思いますが、せっかくの伝統行事です。
お家での豆まきは、夕食の後など無理のない範囲で日が暮れてから行ってみてはいかがでしょう?
まずは鬼を払ってから福を呼び込むべし
「鬼は外!」「福はうち!」と何となく豆をまいているかもしれませんが、実は豆まきには順序があるんです。
【豆まきの手順】
- 玄関の戸や窓を開け放つ
- 家の外へ向かって「鬼は外!」と豆をまく
- 「鬼は外」が終わったらすぐに戸締り→鬼を締め出し、福を逃がさないようにする
- 家の奥から玄関に向かって「福は内!」と豆をまく
言われてみればなるほどなのですが、まずは鬼を外へ追い出し、安全な状態を確保してからゆっくりと福を呼び込むわけですね。
ちなみに、今は家族揃って豆まきをするお家が多いと思うけど、もともとは豆をまくのは年男の役割だったんだよ。
年男とは、昔は一家の主のことを指していたのだそう。現在で年男と言えば、その年の干支生まれの男性のことを指しますよね。そのためは豆は年男と年女、地方によっては厄年の人がまくとよい言われています。
豆まきの掛け声も地域によってバリエーションがあるんですって。「鬼は内!福は内!」とか「福は内!鬼も内!」とか調べてみるとおもしろいよ。
福豆を食べて福を取り入れるべし
節分の豆まきは、最後に福豆を食べて完了となります。
確か自分の年の数だけ豆を食べるんだよね?あれ、年の数プラス1個だっけ?
どっちでも大丈夫だよ。
年の数だけ豆を食べるのは、年の数だけ福を取り込むため。年の数に1つプラスするのは「来年も健康に過ごせますように」と願いをこめているのだそう。
ちなみに「年の数」の「年」は満年齢でも数え年※でもOK。あまり厳格な決まりはないので、お好きな数を採用して福を頂いて下さいね。
※数え年とは、昔の年の数え方。生まれた時点で1歳、その後お正月を迎える毎に1歳ずつ歳をとっていくという考え方です。
豆まきは幼児にはNG?
投げる、ばらまく。子供が大好きな要素がいっぱい詰まった節分・まめまき。難しい準備も必要なく気軽に楽しめるので、お家イベントにも取り入れやすいのが嬉しいですよね。
でも、豆まきは小さな子供には危険が伴うので、注意が必要なんです。
福豆を食べられるのは何歳から?
なぜ小さな子供に豆まきが危険なのか?それは豆が喉に詰まりやすいからです。
硬い豆やナッツは、嚙む力や飲み込む力が未熟な幼児には窒息のリスクが高く、非常に危険。消費者庁からも「5歳以下の子供には食べさせないで」と注意喚起がされています。
5歳になっていても、初めて豆を食べる時には、きちんと噛めているか?飲み込めているか?大人がしっかりと見守ってあげて下さいね。
また、赤ちゃんは何でも口に入れてしまうもの。食べさせるつもりがなくても、拾いきれなかった豆を見つけ出し、飲み込んでしまわないとも限りません。
お兄ちゃんやお姉ちゃんが福豆を食べられる年齢になっていたとしても、弟妹に赤ちゃんがいるお家は、室内での豆の直まきはやめておきましょう。
小さな子供は豆なし豆まき!
お子さんが福豆が食べられない年齢なら、豆を使わずに豆まきの風習を楽しんでしまいましょう。例えば、新聞紙などを丸めてボールを作って的当てをしたり、豆の代わりにお子さんが食べられるお菓子をまいたり。
おすすめはボーロ。その形状からも食べやすさからも、福豆の代わりにはぴったりで節分のお菓子としても人気です。
個包装のものならお掃除もいらないし、衛生的だから安心して食べられるわね。
縁起を担ぐなら、きな粉をつかったお菓子を食べるのもいいね。
きな粉は炒った大豆を粉にしたもの。そう、もとをたどれば節分の主要アイテム・炒り豆なので、節分のおやつとしては打ってつけなんです。
とはいえ、ママとしては市販のお菓子のあげ方も悩ましいですよね。甘くておいしいお菓子ばかり食べてご飯を食べなくなっても困るし、虫歯も心配。
でも量やルールを守れば、おやつは食への興味を引き出してくれるきっかけにもなります。おやつの上げ方についてはこちらをご参考にどうぞ。
福豆だけじゃない!節分の食べ物
日本の年中行事に行事食はつきもの。節分だってもちろん、福豆だけではありません。節分にちなむ縁起物の食べ物をご紹介致します!
恵方巻で福を丸かぶり!
節分の食べ物と言えば、近年すっかり定着した恵方巻ですよね。大阪発祥のこの恵方巻は、もともとは商売繁盛などを祈願して関西地方で食べられていました。
恵方巻は七福神にあやかり7種の具材を使った太巻きずし。なのですが、太巻きと違い食べ方にちょっとした決まりゴトがあるんです。
【恵方巻の食べ方】
- その年の恵方を向き
- 目を瞑って願い事をしながら
- 無言で
- 口を離さず一気に食べる
このように食べると願い事が叶うと言われています。
恵方というのは、その年の幸福を司る神様のいる方角のこと。節分が近づくと今年の恵方は北北東とか南南東なんて言われていますよね?恵方は毎年変わるのでしっかりチェックして下さいね。
でも喋らずに一気に食べるのは子供には難しいねぇ。
そうだね(笑)口を離さずに一気に食べることで「福を逃さない」ってことらしいけど、まあ無理せず行事食としてみんなで楽しく食べればいいんじゃないかな。
今や恵方巻はスーパーやコンビニなどでも簡単に手に入りますし、家族で手巻き寿司パーティーなんていうのも楽しいですよね。
7種の具材には特に決まりはなく何でもOKですので、お子さんの好きなものや食べやすいものを巻き込んで、福を取り込んでみてはいかがでしょう?
イワシ料理で鬼を撃退!
節分に、イワシを食べたり飾ったりする風習がある地域もあるんだよ。
イワシを・・・飾るの?
節分に玄関や軒下に飾るのは柊鰯。これは柊の枝に焼いたイワシの頭を挿したもの。
尖ったものや臭いの強いものには魔除けの効果があると考えられていたので、柊のとげとげした葉っぱ、イワシの強い臭い(焼くとさらに臭いがパワーアップ!)を飾り、鬼を寄せつけないようにするわけです。
そんな魔除け効果のあるイワシの語源は
- 「弱し」:陸に上げるとすぐに弱ってしまうので
- 「卑し」:身分の高い人は口にしない卑しい魚であったため
「弱くて卑しい」イワシを食べることで、陰の気を陽に転ずるとして、節分縁の食材となっているようです。
うーん、なんか散々な言われようだけど・・・でもイワシは栄養価の高い魚だし、無病息災を願う節分にはぴったりね。
縁起物の詰め合わせ!?福茶
最後に縁起物の「福茶」をご紹介致しましょう。福茶は、疫病を鎮めたことに由来する、無病息災・健康長寿などを願って大晦日やお正月、節分に飲まれるお茶。
【福茶の作り方】
- 湯のみ茶碗に福豆(または黒豆)3粒、塩昆布、梅干しを入れる
- 熱湯または緑茶を注ぐ
とっても簡単ですね。これはごく一般的なレシピですが、他にも砂糖を入れたり大根を入れたりと、福茶も地域や家庭によってバリエーションは豊富。もちろん豆だけでもいいですし、ほうじ茶を注いでもOK。
食べきれなかった福豆の使い道としても重宝ですし、飲料部分だけなら(くれぐれも豆は取り除いて下さいね)5歳以下のお子さんでも福を口にすることができますよね。
ちなみに福茶の豆は「まめに働く」、昆布は「喜ぶ」、松竹梅のひとつである、おめだえたい梅。縁起物の詰め合わせなんだよ。
節分、語呂合わせに満ちているわね。
まとめ
- 季節の変わり目である節分は、実は年に4回ある。
- 現代では節分は一般的に立春前日を指す。立春は日にちは年によってズレるので、節分の日にちも一定ではない。
- 節分は無病息災を願って鬼を払い福を呼び込む、厄払い行事。
- 鬼を払うための豆まきには、炒った福豆を使うべし。撒き方にもルールあり。
- のどに詰まりやすい豆は5歳以下の子供が食べるのはNG。
1年の健康と幸せを招くべく、そしてお子さんとのステキな思い出の1ページを刻むべく、楽しい節分イベントとなりますように。