近年、「秋といえばこのイベント!」と答える人が多くなったほど、すっかり日本でも定着してきたハロウィン。きっと、子どもと一緒にハロウィンを楽しもう!と考えているご家族も多いことかと思います。
でもその前に。「ねえ、ママ。あの大っきなカボチャはなぁに?」なんて聞かれたら、あなたはお子さんにハロウィンの意味をきちんと教えてあげられますか?
どんなイベントも、その意味を知っていると楽しさ倍増。そこで今回はハロウィンの由来をわかりやすくご紹介しちゃいます。子供向けに簡単に解説するポイントも伝授しますので、是非参考にしてみて下さいね。
ハロウィンってなに?名前の由来は?
10月になると、街中のいたるところがオレンジと黒でディスプレイされ、華やかでワクワクした気持ちになりますよね。
このように、ハロウィンと言えば、かぼちゃランタン&仮装、トリックオアトリート・・・と何となく楽しそうなイメージが思い浮かびます。でも、ハロウィンってそもそも何をするものなのでしょうか。
まあまあ、そんなこと知らなくても楽しければいいじゃない!と思いましたか?確かにそんな気もしますが、残念ながら小さなお子様達はそれでは納得してくれないものです。
- 「ハロウィンってなに?」
- 「なんでお化けの恰好するとお菓子がもらえるの?」
- 「あのかぼちゃは何するもの?」
etcetc・・・好奇心の塊である彼らは、追及の手を緩めません。
そんな子供達にも余裕の笑顔で対応できるよう、ハロウィンについてしっかり解説していくわよ。
ハロウィンの由来は悪霊対策!?
まずはハロウィンって何ぞや?を知るために、その由来をチェックしていきましょう。
ハロウィンの起源となったのは、古代ケルト民族の「サウィン祭」と言われています。
ケルト?サウィン?
古代ケルト民族は、中央アジアからヨーロッパに渡来した民族。サウィン祭というのは彼らが行っていた収穫祭のことなのよ。
収穫祭がどうして仮装イベントにアクロバットしちゃったわけ・・・?
誰が見ても繋がりなんてないように思えるよね。じゃあ、ケルト民族の風習について、もう少し詳しく説明していくね。
夏の収穫を感謝するお祭り、サウィン祭。毎年この時期には異世界の門が開き、先祖の霊が地上にやって来るとされていました。
「先祖の霊がやって来る」と聞けば日本のお盆のような習慣だったのかと連想しますが、ケルトの場合はもう少し物騒。なんせ異世界との門が開いちゃってる状態なので、縁もゆかりもない悪霊なんかも出入り自由。悪霊たちは子供をさらったり、農作物に悪さをするんだとか・・・
そこでサウィン祭では、
- 魔除けのかがり火を焚いた
- 人々も仮面を被ったり仮装したりして、霊達に仲間だと思わせた
という、悪霊対策を始めました。
お祭りの際の焚火は各家庭に持ち帰られ、かまどに新しく火を入れることで、悪霊などから身を守れると信じられていたんだそうですよ。
おおっ!幽霊に仮装、魔除けの火。確かにハロウィンっぽいね。
ちなみに、サウィン祭が行われたのは、10月31日の夜から11日1日。ケルトの暦では、11月1日が新年の始まりとされていたから、日本流に言えば大晦日から元日にかけてお祭りが行われていたということになるね。
つまり、サウィン祭は新年とお盆がいっぺんに来るようなものだったのね。
「ハロウィン」の名前の由来はキリスト教に関係あり?
ハロウィンの起源はケルト民族の「サウィン祭」・・・じゃあ、「ハロウィン」という名前はどこから来たのでしょうか。
ハロウィンは英語で表記すると「Halloween」。これは「All Hallows eve(オールハロウズイブ)」が語源と言われています。
「All Hallows」とは、カトリック教会の祝日のひとつで「諸聖人の日」のこと。全ての聖人と殉教者を記念するこの祝日が11月1日に定められているので、10月31日の夜はその前夜。つまり「ハロウズイブ」なんですね。
また、教会暦では日没から日没までを1日とカウントするため、10月31日の日没後は諸聖人の日の夕刻=「All Hallows evening(オールハロウズイブニング)」となり、こちらが語源という説もあります。
あれ?ハロウィンってキリスト教の風習なの?
ううん。ハロウィンの由来となっているのは、さっきも言った通り、ケルト民族のサウィン祭。もともとキリスト教とは全く関係がなかったの。
でもローマの侵攻によって、ケルト民族がカトリックに改宗したという過程もあるので、このあたりからキリスト教的要素も混じり合っていったと考えられます。
ただ、キリスト教の中でも宗派によってハロウィンの捉え方が異なっていたりと、このあたりの事情はちょっと複雑。
なので、ここはザックリと。
- ハロウィンはキリスト教の行事ではない。
- しかし、キリスト教圏に伝わったことにより、キリスト教の影響を多分に受けながら形作られ、現在まで残っている行事である。
という感じで理解しておけばOKです。
トリックオアトリートの意味は?返事はどうする?
由来を遡ると、ハロウィンって、ずいぶん宗教色が強いというか、儀式っぽいですよね。
ともかく今の「トリックオアトリート」でお菓子をゲット!という楽し気なイベントとはかけ離れている感じがします。
ところでパパ、「トリックオアトリート?」の意味は知ってる?
知ってるよー。ハロウィンの合言葉みたいなものじゃん。「お菓子をくれなきゃイタズラするよ」でしょ?
大正解。もしくは「イタズラかお菓子か?」だね。
日本では、ハロウィン=仮装のイメージが強くありますが、本来ハロウィンとは子供達が家々を回ってお菓子をもらうということが目的です。これはその際に使われる決めゼリフで、言われた大人はお菓子をあげなければいけません。
でも、「トリックオアトリート?」と言われた時、なんと応えたらよいのかは戸惑ってしまう方も多いのでは?
こんな時は、イタズラされたくなかったら、「ハッピーハロウィン!」又はシンプルに「トリート!」と応えるのが正解です。
「ハッピーハロウィン」とちゃんと応えなかったり、お菓子をあげないと、外国では本当にイタズラされちゃうみたいよ。ドアに卵を投げつけられたり、庭木にトイレットペーパーぐるぐる巻きにされたり・・・
う・・・後始末が大変そうだな(汗)
ちなみに「Treat」は「お菓子」という意味ではなく、直訳すると「もてなし」。ですから、正しくは「イタズラかもてなしか?」なのですが、何と言ってもそこはお子様の訪問。子供をもてなす→お菓子をあげる、という意訳になったようですね。
ハロウィンにお菓子を配るのはなぜ?
合言葉は「トリックオアトリート」。故に、現代のハロウィンでは仮装して訪れる子供たちにお菓子を配るのが一般的。でも、この「お菓子を配る」習慣って、どこから出てきたんでしょうか。
ハロウィンのお菓子習慣についても諸説あるのですが、その由来として考えられている有力説をひとつご紹介しておきましょう。
ハロウィンのお菓子の由来はキリスト教の「ソウリング」?
カトリック教会では、11月1日を「諸聖人の日」としていることは既にお話しましたが、その翌日11月2日は「死者の日」として定められています。
死者に祈りを捧げるこの死者の日には、「ソウリング」という習慣がありました。このソウリングこそが、ハロウィンで「お菓子を配る」由来となったのでは?という説があるんです。
ソウリングの流れは、大体こんな感じ↓
- 死者の日に、カトリック信者が家々を訪問
- 各お家からケーキをもらい、死者に祈りを捧げる
- 死者は無事に天国へ
この時にいただくケーキのことを「ソウルケーキ(魂のケーキ)」と言うのだそうです。
- お菓子(ケーキ)をあげる→祈りを捧げてもらい、霊が天国へ行ける
- お菓子(ケーキ)をあげない→祈りを捧げてもらえないので、霊がこの世に留まり悪さをする
こんな発想から「イタズラかお菓子か?」に繋がっていったのではないかと考えられています。「お菓子をあげると、霊が悪さをしない」。確かにギュギュッとまとめると、まさにハロウィンという感じですよね(笑)
でもやっぱり宗教的っていうか、厳かっていうか・・・現代のハロウィンとは全然印象が違うね。
ところ変わり、時代が移れば、伝統行事の様相も変わってくるものですね。例えば日本でお馴染みの七五三も、その由来を紐解くと「そんな意味があったのか!」と驚くような発見がいくつもあるんですよ。
本来の意味を知っていると、どんなイベントも楽しみ方の幅が広がります。興味のある方は是非こちらもご覧下さい。
現代ハロウィンのお菓子は「おもてなし」?
ハロウィンが現在のような「子供がお菓子をもらえる」というお楽しみイベントの様相をあらわしてきたのは、ハロウィンがアメリカに伝わってからのようです。
19世紀にアイルランドやスコットランドから大量の移民が入ったことにより、ハロウィンはアメリカにも定着しました。そして「仮装してお菓子をもらう」という子ども向けのイベントに変貌を遂げたのです。
「トリックオアトリート」の決めゼリフが生まれたのも、実は同じくアメリカ。
ソウリングに起源があったにせよ、現在のハロウィンのお菓子は、悪さをせずに穏便にお家にお帰りいただくために用意するお化け達へのおもてなし。まさに「トリート」と言えそうですね。
ジャックオーランタン(かぼちゃ)の由来は?
ハロウィンと聞いて真っ先に思い浮かべるのは、やはりお化けかぼちゃのランタンではないでしょうか。あのかぼちゃランタンのお名前は、「ジャックオーランタン」。直訳すると「ランタン持ちのジャック」。
ハロウィンのメインキャラ(?)とも言えるこのジャックオーランタンですが、こちらにもちゃんと由来があるんです。
ジャックオーランタンの由来はアイルランド民話
ジャックオーランタンの由来は、アイルランドの民話です。どんなお話なのか、簡単にご紹介していきましょう。
昔々、ジャックという大酒のみで、悪いことばかりしている男がいました。ある時ジャックは、悪魔を騙して「自分が死んでも魂を取らない」という約束をさせます。
さて、いざジャックがその命を終えると・・・生前悪さばかりしていたため、当然のことながら天国に行くことはできません。そこでジャックは地獄に向かいますが、「お前の魂を取ることはできない」と悪魔に言われ、地獄にも入れてもらえません。
行く場所のなくなったジャックは、悪魔に分けてもらった地獄の火をカブで作ったランタンに入れ、それを持ったままさまよい続けたということです。
天国にも地獄にも行けず、1人さまよい歩くのが幸せかどうかはさておき、悪魔に魂を取らせなかったジャックの火は、確かに魔除けの象徴という感じもします。
ハロウィンの由来となったサウィン祭にも、もともと魔除けの火という考え方がありましたね。そこにこういった民話も加わったことで、現在のランタンスタイルが出来上がっていったのかもしれません。
なるほどね~。って、ちょっと待ったー!!ジャックってば、カブでランタン作っちゃってるよ!?ジャックオーランタンって、かぼちゃでしょ!?
ハロウィンにかぼちゃが使われる理由は?
実はハロウィンのランタンは、当初は民話と同じようにカブで作られていたそうです。かぼちゃランタンが登場したのは、ハロウィンがアメリカに伝わってから。
わ、かぼちゃランタンの発祥もアメリカなんだ?どうしてカブからキャラ変更したの?
んー、アメリカではかぼちゃの方がよく獲れたからみたいよ?あと、かぼちゃの方が目とか口とかくり抜きやすい、とかもあったみたい。
余談ですが・・・カブランタンは、めちゃくちゃ怖いです。ちょっぴり不気味な雰囲気を醸し出しつつも、陽気なお祭り気分を演出してくれるかぼちゃクンとは大違い。もうね、「ザ・魔除け」って感じで、お菓子なんかもらえなくても、逃げ帰りたくなります(笑)
やっぱり子供と一緒に楽しむイベントなら、例えお化けがテーマでも、可愛く楽しい飾りつけにしたいですよね。ハロウィングッズは、お家にあるもので簡単に手作りできちゃうので、是非お子さんと一緒に作ってみてはいかがでしょうか。
ハロウィンを子供向けに簡単解説!ポイントは3つ
さあ、由来や意味をバッチリ学んだあなたは、もはやハロウィン博士。「ハロウィンのことなら何でも聞いて!」と得意気になっていると思いますが、いざ我が子に「ハロウィンってなぁに?」と尋ねられると、ちょっと困ってしまいませんか。
だって、ケルトがどうとかカトリックがどうとか・・・子供に説明するのって難し過ぎ。
でも大丈夫です。小さなお子さんにも理解できるように、小難しい歴史的背景なんかはすっ飛ばし、ハロウィンについて簡単に説明してあげましょう。
そのために、これからご紹介する3つのポイントをしっかり押さえて下さいね。
子供向け解説ポイント①「ハロウィンは外国の行事」
「ハロウィンってなぁに?」と我が子に聞かれたら・・・
まず伝えるべき第1のポイントは、ハロウィンはもともと外国でやっていた行事だということ。
「ハロウィンは外国のお祭りのようなものでね、子供達がお化けの格好をして『トリックオアトリート』と言うと、お菓子がもらえるんだよ」
「とっても楽しそうだから、それを日本でも真似するようになったんだよ」
といった感じで教えてあげましょう。
現代ハロウィンは既に宗教色ゼロだからね。アメリカ版ハロウィンについて簡単に教えてあげよう!
子供向け解説ポイント②10月31日はお化けの日
次に「ハロウィンってどうしてやるの?」ということを説明してあげるといいですね。
そこで、簡単説明第2のポイントは、ハロウィンが行われる10月31日は、地上にお化けがやって来ると信じられていたということ。
「外国では10月31日に、お化けがたくさんやって来ると信じられていたんだよ」
「お化けにイタズラされないように、お化け達がちゃんと自分のお家に帰ってくれるようにするためのお祭りなんだよ」
と、ハロウィンの由来についてを、要点のみ簡単サラリと。
お化けや幽霊が苦手な子供にも「外国の話」として伝えてあげると、あまり怖がらせずにすむからいいよね。
子供向け解説ポイント③仮装でお化けとお友達
そして最後に「どうしてお化けの格好をするの?」ということをお話してあげれば完璧。
簡単解説ポイントの第3は、お化けに仲間だと思ってもらうために、人間達もお化けの格好をするということ。
「お化けの仲間だと思ってもらえたら、イタズラされないでしょう?」
「だからみんなでお化けに変装して、お化けのフリをしたんだよ」
といった風に、仮装の由来をこれまたサラリと。
ただ現代のハロウィンって、お化けに限らずディズニープリンセスの仮装あり、キャラクターの仮装あり・・・かなり自由度が高いですよね。
日本の場合だと「トリックオアトリート」なんて言わなくてもお菓子が配られたりしますし・・・。もし、このような現代版ハロウィンルールのせいでお子さんがイメージしにくいようであれば、
「今はお化けの格好だけじゃなくて、いろんな仮装をして楽しむようになっているよ」「お菓子をあげると、お化けもイタズラしないで自分のお家に帰ってくれる、と信じられていたんだよ。だから今でもハロウィンではお菓子が配られるんだね」
なんて説明も加えてあげるといいかもしれません。
とにかくハロウィンの由来を思いっきりかみ砕いて、子供向けに優しい言葉にしてあげるといいよ。
これで大人も子供もハロウィンについての知識はばっちりだね!意味を理解していれば、今年のハロウィンはいつも以上に楽しめること間違いなし!
まとめ
- ハロウィンの由来は、古代ケルト民族の収穫祭・サウィン祭。
- ハロウィンの名前はカトリック教会の諸聖人の日「All Hallows(オールハロウズ)」に由来しているが、ハロウィン自体はキリスト教の行事ではない。
- 「トリックオアトリート」は「お菓子をくれなきゃイタズラするよ」という意味。イタズラされたくなければ、「ハッピーハロウィン」と応えるのが正解。
- ハロウィンでお菓子を配るのは、霊(お化け)達に地上でイタズラすることなく、自分達の世界へ帰ってもらうため。由来の一説として、カトリックの「ソウリング」が上げられている。
- ハロウィンで使われるかぼちゃランタン=ジャックオーランタンは、アイルランド民話に由来。もともとはカブで作られていた。
- ハロウィンを子ど向けに簡単に説明するポイントは3つ。①外国の行事であること、②10月31日にお化けがやって来ること、③お化けに仲間だと思わせるために仮装をすること。
思いのほか歴史があり、奥深いハロウィン。由来を知ればお子さんの「なんで?」「どうして?」にもじっくり向き合えますね。
仮装にお菓子、大っきなかぼちゃ・・・ハロウィンにはワクワク要素がいっぱいです。お子さんと一緒に、どうぞ楽しいハロウィンを!